バフェットの「投資哲学」「投資手法」を学ぶことが投資の世界で成功する確率を高めるというのは、誰もが疑うことのない事実なはずです。
なのにバフェットの真似をして資産1億円達成を自慢する本やサイトを見たり、成功例を聞いたりすることがあまり多くありません。
その代わりに高配当株で資産を作りましたといった類の成功例はよく聞きます。
ただ高配当株オンリーでの運用は、ある程度資産を築いた後に資産をどうやって守りながら使うかという段階の話です。
ある程度のお金を使い人生を楽しみながら資産を作る場合は、上記の方法では30年後に下手すると棺桶に資産を持っていくようなものです。
では話を戻します、バフェットの「投資哲学」「投資手法」が難しいから誰も真似しないのでしょうか。
私はそうではないと思います。
今我がファンドが思う答えは二つです。
一つ目は投資の勉強を含めた投資にかける時間がないからか若しくは少ないからではないでしょうか。
では仕事で投資に関わり、時間があるプロとされる投資家はなぜ真似しないのでしょうか。
二つ目はバフェットの投資手法がシンプルすぎて、動きがないからだと思います。
プロとされる投資家はものすごい短い期間で成果を報告しており、それゆえ売買を必要以上に繰り返しています。
そのためバフェットの投資手法を真似することができないのだと思います。
二つの理由はさておき、時間と覚悟がないのであれば、手数料が安いインデックスファンドを通した株式投資をするほかありません。この方法ならほとんどのプロとされる投資家よりも運用成果はいいはずです。
それでも個別株に投資しようとするなら投資の勉強をしましょう。
一緒にバフェットから学びましょう。
では本題のバフェットが考える『賢明な投資』について紐解いていきます。
まず最初にバフェットは「投資家の目的」とは何かをはっきりさせています。
次にその目的を達成するために、「何をすべきか」具現化した手段が『賢明な投資』となっています。
更にいうと『賢明な投資』は、3つから構成されているという感じです。
- バフェットが考える賢明な投資
- バフェットの投資哲学
- バフェットが勉強すべきという科目
では順番にみていきます。
目次
投資家の目的とは
まず始めにバフェットは『賢明な投資』を支える大切な骨格となる「投資家の目的」を明らかにしています。
あなたにとって「投資家の目的」は何か と聞かれると、私は一般的には投資収益を上げることと思いつきます。
しかし、バフェットが考える「投資家の目的」はというと・・・
投資家の目的について上記のように述べています。
「十分に理解でき」かつ「確実に高い収益を上げるであろうビジネス」「合理的な価格で購入すること」
その目的は、決して漠然と投資収益を上げるというものではなくて、投資収益を上げるために踏み込んだ明確なものとなっています。
また、バフェットは「投資で成功する方法」についても先ほどと同じことを言っています。
2つの言葉をまとめると
「十分に理解できて」→分析可能である(詳細な分析を行い評価可能である)
「将来も高い収益を上げ続ける」「素晴らしい財務状態で運営する」→安定した成長企業である
「合理的な価格」「それに見合った価格」で購入すること→安全域が存在する
分析可能で安定した成長企業に安全域が存在した状態で購入することこそが投資家の目的であるということです。
加えて、バフェットの師匠であるグレアムも「投資家と投機家」についてでバフェットと似た事を言っています。
さすが師匠と弟子は考えが似ていますね
「元本の安全性を守りつつ」や「適正な収益を得るような」の言葉からグレアムは割安株による安全域を設けていると言う面で、バフェットより保守的に感じます。
因みにグレアムの投資と投機の違いなどグレアムの叡智である投資哲学を知りたい方はグレアムの著書『賢明なる投資家』を是非読んでください。
投資と投機の違いについて私がまとめた記事はこちら↓になります、ご参考にしてくだい。

バフェットが考える『賢明な投資』は、この「投資家の目的」を達成するために3つの具体的な行動(手段)から構成されています。

では次に、賢明な投資①を確認していきます。
賢明な投資① 活発に動かない
バフェットが考える『賢明な投資』の一つ目は「活発に動かない」ことです。
中央銀行が政策を変更したり、株式市場のプロとされる人が何か発言したことに対して、親会社のオーナーが好業績な子会社の株式を活発に取引することを望まないのに、保有株数が少ない銘柄の場合はそのアプローチを変えるのかという話をしています。
またバフェットは色んなところで株式投資を野球に例えて、株式投資に見送り三振によるアウトはないとも言っています。
何でもかんでも来たボールを打ちに行こうとせずに、見極めてバットを振ること(選択すること)が大切です。
↓下記のバフェットの言葉は株式市場が加熱している時によく引用されているので見たこともあるかと思いますが、我がファンドも例に洩れず好きな言葉です。
要はみんなが警戒している時に貪欲になり、かつ自分で見極めて選択したものを活発に取引するなということです。
賢明な投資② あまり大きな変化が起きそうにない企業や業界を対象とする
『賢明な投資』の二つ目は、「あまり大きな変化が起きそうにない企業や業界を対象とする」です。
そうするバフェットの理由がこちらです。
変化が早い業界で時流に乗れば急成長する可能性はもちろん高くなります。急成長すれば莫大な利益を得ることができるかもしれません。
しかしそれは同時に10年先20年先も競争力が変わらないという将来は見通せないのです。
変化があまり大きくない業界を選ぶメリットは、急成長より確実性のある成果を得ることなのです。
そしてもう一つメリットがあります。
もう一つのメリットは、自分の能力の及ぶ範囲に入りやすく価値の評価がしやすいということです。
我がファンドは、最近この事実を目の当たりしました。
と言うのも変化が早い業界は同時に変化も大きくなる傾向があります。
イイ時はいいかもしれませんが、同時にダメな時のダメージも大きくなります。
これが意味するところは、企業価値の評価がしにくいということです=見誤るということです。
つまり悪い意味で価値と評価に乖離が生ずることになります。思ったより将来性がなかったということもあり得ます。
自分の理解の及ぶ範囲を認識した上で、その範囲内で選択し、評価することが大切ですので、変化の少ない業界を対象とするのです。
賢明な投資③ イネビタブルズ(所有していなければならない)な企業
賢明な投資の最後は「イネビタブルズな企業を探し当てる」です。
バフェットは、イネビタブルズ(所有していなければいけない)な企業の例として「コカ・コーラ」や「ジレット」や「シーズ社」を挙げています。
利益について人によって多少異なる予想が存在するけれど、10年20年後も絶対的な存在として君臨することを誰もが容易に想像できる企業のことを指しています。
ただこう言った企業を探し出せることは非常に難しいため、もし見つけた場合はその銘柄を大量に購入するべきです。
イネビタブルズな企業に出会うことはなかなか困難なので、バフェットはポートフォリオに「イネビタブルズ」までいかないが「かなり有望なもの」を加えるようにしているそうです。
賢明な投資は複雑ではない
賢明な投資の投資哲学を学びながらこれから我々が進んでいくべき道は自ずと見えてきます。
今までの繰り返しになりますが投資家に求められるのは・・・
もちろん株式市場を予測する力ではなく
バフェットが考える投資で成功するために学習すべきもの
まず勉強すべきことは財務諸表の理解のため「会計」であることは確かなのですが、その後何を勉強すればいいのか迷うものです。
バフェットは投資で成功するために徹底的に学習すべきものについて、ベータ値や効率的市場や最新のポートフォリオ理論などではなく「企業価値の評価法」「市場価格のとらえ方」の二科目であると教えてくれています。
是非参考にしてみましょう。
最後に
これまでバフェットが考える『賢明な投資』について、順を追って紐解いてきました。
もう一度まとめてみると
- 活発に動かない。
- あまり大きな変化が起きそうにない企業や業界を対象とする。
- イネビタブルズ(所有していなければならない)な企業を探し当てる。
バフェット自身も言っていますが、賢明な投資は決して簡単にできるものではないですが複雑なものではありません。
長々と書いてきましたが、沢山のことを一回で肝に銘じることはできないと思われます。
ただ今回取り上げた事全てが投資で成功するために必要な考えであります。
それでもこれだけは絶対に覚えておくべきと言うものを一つだけあげるとすれば、我がファンド的には賢明な投資の2つ目の中で書きました「自分の理解の及ぶ範囲内での選択」になります。
理由は簡単です。
そしてこの投資手法をした結果どうなるかについて、我がファンドの信念にしたいバフェットの言葉があります。
その言葉でこの記事を締めくくります。
こうした投資手法をきちんと実行できれば、初めは少量の株式が、ほとんどの場合いずれはその投資家のポートフォリオの非常に大きな部分を占める銘柄に成長するものです。
第3版 バフェットからの手紙 第2章 ファイナンスと投資 E.賢明な投資
そうなる日が来ることを夢みて株式投資をしていきましょう。
Your ceiling is my floor.
以上 バフェットが考える賢明な投資 でした。
参考文献
- ローレンス・A・カニンガム(2014)バフェットからの手紙【第3版】
投資家の目的は、十分に理解でき、かつ5年、10年、20年後に実質上確実に高い収益を上げるであろうビジネスの一部を、合理的な価格で購入することに尽きるはずです。