ここ数年で金融緩和策の出口戦略として世界各国で急激なインフレ退治のために利上げが行われました。
デフレが当たり前の日本にとっては、物価上昇は景気が上向いていく方向なので歓迎すべきものとして認識してました。
一個人としては、賃金の上昇がなければ中々受け入れられるものではありませんが・・・
そして日本も世界に遅れながら2024年7月に追加利上げを行いました。
しかしその日銀の判断に株式市場が反応するかのように株式市場は大暴落しました。
株式投資は相場を予測して行うモノではないですが、利上げによる株式市場への影響を理解している方が弱き相場を察知できると感じました。
なのでそもそも長期金利って何だっけというところから勉強しました。
今回の記事は、金利について「そもそも利上げって何?」「金利は株式市場へ影響を与えるのか」などについて本で勉強したことを備忘録として綴っていきます。
- そもそも金利、長期金利、利上げとは何か
- 金利と株式の関係
目次
金利とは
金利とはお金の貸し借りや預けた時の対価(お礼みたいのもの)
一般的には住宅ローンや奨学金を借りたときに元本と一緒に支払う金利や銀行預金の金利が身近でイメージしやすいです。
借入期間が長期になればなるほど総支払金利額が増加していきます。
また借りる人の信用度によって金利が変わってきます。
金利はお金の量に連動する
金利とお金の量は表裏一体となって動きます。
市場に出回るお金が増えると金利は下がり、市場に出回るお金が減ると金利は上がります。
金利が下がると市場に出回るお金の量は増加し、金利が上がるとお金の量は減少します。
例えば金利が下がればお金を借りる人が増えて世の中のお金の量が増えるという感じです。
利上げって何
日銀が金融政策として短期金利を決める
日銀が物価を安定させるために金融政策として短期金利を決定します。
その短期金利のことを「政策金利」と言います。
貸し借りの期間が1年未満の金利が短期金利です。
1年以上が長期金利となります。
短期金利=政策金利
利上げとは日銀が決める政策金利を上げること
もう少し詳しく説明すると、年8回開催される日銀の金融政策決定会合(総裁含め9名ぐらいで構成される)で政策金利(短期金利)を上げ下げすることを決めています。
2024年に17年ぶりにこの政策金利を上げました。
利上げとは日銀が政策金利を上げることです。
また政策金利を上げることは同時に金融引き締めを意味します。
金利を上げるということは市場のお金の量を減らそうとしています。
長期金利は短期金利をベースに物価変動や先行きにより市場が決めるもの
ただ日銀が決めることができるのは短期金利であって長期金利ではありません。
では誰が長期金利を決めるのかというと、それは市場です。
「長期金利」は短期金利を基に物価変動等により「市場」が決めます。
長期金利の代表例としては10年物国債の金利があります。
債券投資をしてなくても株式投資をする上で債券は株式投資と切っても切り離せないぐらいどこでも出てきます。
長期金利=10年物国債の金利
2016年9月頃から2024年4月まで日銀はイールドカーブコントロールを導入することで長期金利もコントールしようとしていました。
世の中のお金を実際に動かしているのは長期金利
我々の身近な金利である住宅ローンの金利や銀行融資の金利は長期金利に基づいています。
ただ日銀が利上げした短期金利の上昇分だけ住宅ローン金利がそっくりそのまま上がる訳ではないのです。
しかし長期金利は短期金利をベースにすることから、これからの「利上げの時代」住宅ローンの金利は固定も変動も上昇することになります。
過去の歴史から長期金利の推移は国の経済成長率と関連しています。
どの投資先(国)を選択するかの目安として、長期金利の推移を確認することは判断材料の一つになります。
金利と株式市場の関係
では次に金利と株式市場の関係についてです。
金利が上昇すると基本的に株価は下がるが・・・
金利が上昇すると基本的に株価は下がるとされてきました。
理由は金利上昇により債券価格が下がり債券投資の利回りが上昇することや投資家が企業の資金調達のコスト増加を懸念することから株価が下がるとされています。
ただし株価が下がらない場合もあるんです。
景気の継続的な拡大局面では金利上昇と株価上昇が同時に起きることもあります。
なので、当たり前になりますが金利だけでは一概に株式市場への影響を断定することはできません。
ただ強いて最近の傾向を言えば、利上げに対して株式市場は嫌気を指して下落しています。
株式の現在価値を求めるときに国債の長期金利を計算に用いる
投資の神様であるバフェットは株式の現在価値を計算するときに国債の長期金利を用いているとされています。
金利1%の場合 1,000円÷(1+0.01)=990円
金利2%の場合 1,000円÷(1+0.02)=980円
上記の例からも金利が上昇すると現在価値は下落します。
投資する場合、支払う価格が現在価値と比べて割安かどうかにより判断しますので金利が上昇した場合の方が割引率が上昇し現在価値が割安になりやすいです。
参考文献
- 明解!金融講義 世界インフレ時代のお金の常識・非常識 (2025) 高橋洋一 ソシム株式会社
知っているようで知らない分からないことを勉強することは投資リテラシーを向上するために必要です。
無知ほど怖いものはないです。
lets study.
以上 利上げって何、株式市場への影響は?でした。