投資家にとって債券投資は必要なのか、株式投資のみでいいのか

株式市場で暴落が起こる度に「今」投資資金を持っていればなとつくづく感じます。
現金があるに越したことはないんですが、株式投資にフルベットしていますので基本的にありません。
また手持ちの株を売却してまで投資資金を作ろうと思いません。
そこで現金より収益性を見込めてかつ、株式市場とは反対の動きをする(株式市場暴落時にそれほど暴落しない)とされる彼「債券投資」の出番ではないかと最近思うのです。
「米国債の利回りもいい」という話を聞きますので・・・
債券投資の可能性について考えてみました。
- 債券投資の基本
- 債券投資のメリット・デメリット
- 債券投資の利回りが高い場合はどうするべきか
債券投資の基本
債券は借用証書
債券は借用証書といっても、投資家の借金ではなく債券を発行する機関からすれば借金という意味です。
発行する機関は国や地方自治体や企業と様々になります。
国、地方自治体や企業などが投資家から資金を集めるために債券を発行するのです。
株式投資との違い ①満期が存在する
借金なので発行機関(国や地方自治体)にとっては「返済期限」が存在します。
債券投資家からすれば「満期」や「償還期限」があるということです。
株式投資との違いの1つ目です。
株式投資との違い ②購入時に利回りが確定する
債券投資家は「利子」と「元本」(満期償還時に)を手にします。
満期まで保有する前提であれば、購入時に運用利回りが確定します。
つまり購入時に投資利回りが確定するということです。
例えば、日本国債の第380回債(新型窓口方式)をみてみると
といった感じで利回りが確定して募集されています。
これが株式投資との違いの2つ目です。

個人で買える国債には「個人向け国債」だけでなく「新窓販国債」もあります
株式投資との違い ③決まった動きをする
債券投資において、重要なこととして債券は以下の「決まった動き」をします。
これが株式投資との違いの3つ目になります。

株式市場はこのような決まった動きをしません
この動きは債券の基本的かつ重要なものなので、まず第一に理解しておくべきものです。
リスクは3つ【価格変動リスク、信用リスク、為替リスク】
株式投資より安全とされる債券投資にももちろんリスクがあります。
- 価格変動リスク
- 信用リスク
- 為替リスク
順番に見ていきます。
1つ目の「価格変動リスク」は満期まで債券を保有すれば無リスクとなります。
どういうことかというと
債券は満期前の途中売却が可能ですが、ただ途中売却の場合には市場価格での売却となります。
つまり購入時より下がるリスクが存在します。
しかし満期まで保有すると元本で償還されますので、満期まで保有すれば価格変動リスクは無くなるということです。

価格変動リスクは、満期まで保有する予定の人には関係ない話になります
2つ目の「信用リスク」とは債券の発行機関が倒産したときに生じるリスクです。
債券投資において一番損失を被るリスクが信用リスクになります。
例えば、とある社債を100万円分購入してその企業が倒産すると100万円分が紙切れになるということです。
発行機関が債務返済不能状態になると元本や利子が貰えなくなるリスクのことを言います。
債券投資をするに当たって
信用度の指標としては民間の格付機関が出している格付けにより確認を行うことができます。
ただ世の中に100%信頼できるものなどありません。
格付けが最上位だからといって、100%債務不履行にならない訳ではなく可能性が低いということです。
理由はあくまで債券投資は株式投資の補完という位置付けであり、リターンを増やすために債券投資のリスクを取るなら他のリスク資産に投資している方が無難です。
3つ目の「為替リスク」は、米国債など海外の債券に投資するときに生じるリスクです
米国債の利回りが高いと言われるのに、日本人が気軽に米国債投資できない理由がこの為替リスクのせいです。
為替リスクがなければ米国債の投資はもっと身近になりえます。
米国債の利回りが4%だとしても購入時より償還時に円高が進むと貰える額が目減りするので、実際の利回りが4%より少なくなります。
株式市場と同じで為替の短期的な動きを誰も予想することができないから、この円ドルレートの為替を考慮しなければならないのが厄介なのです。
利回りの計算方法
債券投資では様々な債券を比較するために複利利回りの計算方法を知っておいた方がいいです。
例 額面:100円 クーポン:5円(年5%)
市場価格:95円 残存期間:3年
ではこの債券の利回りはいくらか?
=YIELD(DATE(2025,1,1), DATE(2028,1,1), 0.05, 95, 100, 1)
答えは「6.9%」です。
条件の異なる債券を比較するために自分で利回りの計算ができた方がいいですが、ネット証券の販売画面では基本的に最終利回り⚪︎%と記載されていますので計算できなくても問題ないです。
債券投資は必要か
債券投資の基本の次はメリット・デメリットを見ていきます。
メリット
私が考える債券投資のメリットは3つです。
- 安定性と収益性
- リスク資産の逃避先
- 流動性
順番に見ていくと
①やはり市場に左右されにくい「安定性」と利子による「収益性」がある
他のリスク資産に比べると、債券には満期まで保有すれば元本が戻ってくる安定性と利子による収益性があります。
現金はインフレを考慮すると必ず購買力が落ちます。
しかし債券利回りがインフレ上昇率より高ければ購買力を維持できます。
現実はそんなに甘くありませんが・・・
②「リスク資産の逃避先」つまり株式価値が下がると債券価値は上がる傾向がある
市場が暴落した時に高リスク資産から安全資産である債券を購入する「安全への逃避」という現象が起きるからです。
「金」にもよくこの現象が起きますが、金は収益を生みませんので投資対象外として私は好んでいません。
③流動性により資産のリバランスに適している
株式以外のリスク資産というと不動産を真っ先に思い浮かべますが、不動産は字の如くすぐに換金できません。
一方債券は簡単に売却・現金化ができます。
不測の事態での現金化は重要であり、資産形成において資産の流動性は必須です。
売買高でいうと、実は債券市場は株式市場の30倍の市場規模なのです。(2020年12月現在:約1,939兆円)
市場の規模が大きくなるということはそれだけ流動性も高くなるということです。
ただ国債の個人投資家の割合は1.1%です・・・(2021年3月現在)

プロが多い世界ということ
債券のメリットである「リスク資産の逃避先」と「流動性」という性質が資産のリバランス(見直し)に最適なのです。
金融危機により職を失ったとしても市場に影響を受けにくい債券を売却することで現金を確保できます。
また市場暴落時に債券を売却して株式を購入することで回復期に利益を上げることも可能なのです。
デメリット
メリットが存在すればデメリットも存在します。
私が考える債券のデメリットは2つです。
明らかなデメリットは株式などのリスク資産に比べるとリターンが少ないところです。
ただ低リスク高リターンな投資資産は存在しません。
デメリット2つ目は3つのリスク(価格変動リスク、信用リスク、為替リスク)が存在します。
詳細については上記リスクで説明した通りです。
株式市場暴落時の債券市場の動きを検証
ではメリットとデメリットを理解した上で2025年4月トランプ関税ショック時の債券市場の動きを見てみようと思います。
債券投資は「生債券」と「債券インデックスファンド」のどちらでもリターンは変わりないという結果を踏まえて、今回は保有しやすい「債券のインデックスファンド」を株式と比較します。
因みに債券の投資信託は世界(日本を除く)の債券に投資するインデックスファンドの中から選んでいます。

「世界」「インデックスファンド」「債券」「おすすめ」で検索すると何個か出てきますので、そこから下記項目を満たすものを選んでいます

上図では暴落時の動きを見ています。
2025年4月のトランプショック時に、「日経平均」は年初から20%下落、「NYダウ」は13%下落しています。
一方、「eMAXIS Slim先進国債券インデックス(除く日本)」は3%の下落でした。
株式市場の暴落に釣られ過ぎていません。

次に上図ではリターンの面を見ています。
リターンが全くなければ現金で保有した方が良くなります。
2017年2月に設定されてから今(2025年9月)まで43%上昇しています。(年複利で約4.2%)
株高のご時世、日経平均やNYダウにはもちろん及びませんが現金で保有するより遥かに良いことが分かります。
株式市場の暴落時に一緒に暴落せずにかつ平常時リターンがある上記の事実から、資産のリバランスに適していると判断でき「債券は分散投資先」として考えることができます。
現金で保有している方がいいのではと思うレベルでしたので、比較対象として世界の債券に投資する投資信託を選んでいます。
(株式市場の暴落時の減少幅については申し分なかったのですが)
利回りが高い場合にどうするべきか
最後は債券投資をするに当たって少しでも参考になればと思い、利回りが高い国債があった場合の判断目安を示しています。
債券は金利上昇時には債券価格が下がるという決まった動きをするので、株式より投資しやすく、大まかな流れを判断目安にすることができます。
- 利回りが高いとされる国債があった場合、どうすればいいいか迷った時の判断目安として
債券価格が下がっていくので利回りは上昇していきます
今の債券価格は底で、今後上昇していくにつれて利回りは下落していきます
債券価格がこれ以上 上昇せず下落していきます
そもそも金利が「天井である」とか「底である」とか未来人でなければ誰にも分かりませんので、この判断目安は参考になるようでなりません。
債券インデックスファンドに投資の場合、満期償還がありませんので少し参考になるかもしれませんが・・・
株式投資を補完する選択肢になりうる
基本的には【JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則】で債券投資について検証されいてたのですが今回改めて自分の目でも株式投資の補完になりうるか確認した次第です。
債券投資について「債券の可能性」は理解していた通りでした。
ここまで見てきて
①株式市場の暴落時に一緒に暴落しない
一緒に暴落しないということは、債券を売却することで投資資金を確保できます。
つまり暴落時に株式を購入できます。
②投資先として収益性がある
リスク資産に比べると目劣りしますが、この点についてもクリアしていますので問題なしです。
因みに債券でリスクを取るぐらいなら株式でリスクを取った方がリターンが高くなると考えています。
結論としては債券投資は株式投資の補完になりうる。
仮に債券投資をするなら株式と債券のポートフォリオの比率を自分のリスク許容度に応じて使い分けることが大切です。
今回は、選択肢としての可能性を考えたに過ぎません。あとは自分でしっかりと考えていきましょう。
債券を絶対買うべきと勧めているわけではありません。
投資は自分で考えるべきものだからです。
以上 投資家にとって債券投資は必要なのか、株式投資のみでいいのか でした。