人生の3大支出は住居費・生命保険料・教育費です。その中で教育費は聖域としがちです。
もちろん子の成功を望まない親はいません。
しかし子育てにはミルク代やオムツ代に始まり食費や教育費等の多岐に渡りお金がかかるものです。
そしてお金という資源は一部の人を除いて限りがあります。
ここで子の成功と限りある教育資金の間でどう配分するか親を悩ます問題に直面します。
何をいつの時期にさせてあげることが子供の人生を豊かなものにする助けとなるのか、よく分からないものです。
子育てに正解がないように教育の投資にも正解がないかのように、皆が自分の経験だけの主観で話す状態です。
この状態を皮肉って「1億総評論家」と言われたりします。
本当に教育投資の世界にデータを基にした定石はないのでしょうか。
投資の世界はデータを基にした研究が進んでいます。
何にいつ投資して、どういうメンタルで市場と向き合えば運用成績が向上するかが明らかになりつつあります。
ただ人間は感情の生き物ですので、中々文章を書くように簡単に行動をコントロールできませんが・・・
では主観に満ちた教育の世界にはエビデンス(データ)を基にした定石がないのでしょうか・・・
実は教育の世界についてもエビデンスに基づいた定石があります。
今回は 『「学力」の経済学(2015)中室牧子 』を読んでみましたのでそれについて書いていきます。
- 子供の教育投資におけるエビデンスに基づいた定石
- 勉強させるために子供を褒美で釣る効果
教育投資の効果
費用対効果が高いのは就学前
教育投資の実験は、日本では数少ないみたいですが海外では大規模に行われています。
そして既に判明している事もあります。
実体験として何を習うにせよ習い事は早くに始めた方が上達までの時間ができるため早期がいいだろうと思っていました。
エビデンスでも一番費用対効果があるのは「就学前」ということが判明しています。
就学前の教育投資といっても、実験で行われていたのは基本的な読み書きについて幼稚園で教育を受けるという内容のものでした。
なので就学前に何を習わせることが子の人生にとって良いのかまでは分かりませんでした。
学力への影響は短期間だが非認知力に対しては長期間に及ぶ
読み書きや基本的な生活習慣について教育を受けることによって学力もちろん向上しますが、それだけでなく非認知力にも影響を与えます。
就学前投資により向上した学力は8歳前後に就学前投資を受けていない者との差が無くなりますが非認知力に関しては長期的に影響を受ける事が分かっています。
非認知力とは
IQや学力で計測できるものを認知力といいます。
認知力に対して、「忍耐力」「自制心」「社会性」「創造力」といった『生きる力』を非認知力といいます。
人生で成功するには学力より圧倒的に非認知力が大切
社会に出ると世の中で成功するには学力でないことがすぐに分かります。
子供のうちは学力の競争がしばらく続きます。
学力が物差しであったのに社会に出た途端に学力以外の「コミュニケーション力」や「やり切る力」など非認知力の方が明らかに大切になってきます。
学校はそもそも学問だけを学ぶことが目的ではなかったのに、いつの日か日本では学力の物差しの方が比較ができるため学力優先になってしまったのではないかと思われます。
学校は勉強するだけの場ではなく、勉強する過程で友達や先生から生きる力を学ぶ場所であるはずです。
軽視しがちですが勉強より大切なものがそこにはあります。
勉強する過程で非認知力を鍛えることができて生きる力を培うことこそ
優秀な成績を収めることより意味があるという事を忘れてはいけません。
なぜ勉強をするのかに繋がる大事な部分だと思います。
元も子もないが、子供の人生は子供自身で決めるものであり親が決めるものではない
教育投資としては限りある資産を塾などに行かせるより非認知力を鍛えることに投資した方が良いことが分かりました。
要は学校や家庭とは別のコミュニティーで活動できる環境作りに投資すれば良いということです。
大人でも仕事場や家庭とは別のコミュニティーに属することから広い視野を得られたり、アイデアが浮かんだりします。
人生と同じで教育投資でもこれだけをすればいいみたいなものは存在せず色々と挑戦する中で好きなことが見つかれば幸運という感じでしょうか。
長いようで短い一回切りの人生を好きなことをしないで生きるというのは勿体無いです。
好きな事をすることは人生の一つの瞬間で見ると非効率に見える時がありますが実は遠回りをしているようで幸せへの一番の近道だったりします。
How are you living? どうやって生きていきたいか
そして当たり前の話になりますが、子供の幸せや人生は親が決めるものでなく
シンプルに子供がやりたい事をできれば子供はそれで幸せではないかと思います。
褒美で子供を釣る効果はあるのか
親に罪悪感があるかもしれないが、ご褒美で子供を釣ることは効果がある
人生で成功するには非認知力が大切です。
かつ勉強する過程で非認知力を培うことができるということから子供にとって勉強することは大切になってきます。
また勉強することが将来の年収を上昇させているという研究結果があるようです。
なので親が将来のために勉強しなさいと言っていた事はあながち間違いではなかったのです。
しかし、人間は遠い将来より目先の利益や満足を優先してしまう生き物です。
勉強することが自分のためになるのに(遠い将来の利益)
漫画やゲーム(目先の利益)を選んでしまう生き物なのです。
この性質を逆手に取ったのがご褒美で釣って勉強をさせる作戦なのです。
なのでご褒美で釣っとしても、子供に勉強をさせる事に成功しているのです。
ただその作戦に弊害はないのかというと・・・
勉強が楽しいという気持ちを削ぐことにならない
勉強自体が楽しいという気持ちを削ぐ事にならないという研究結果が出ていますのでご褒美作戦に問題はありません。
そしてどのようにご褒美を与えるのが効果的であるのかまで分かっています。
遠い将来ではなく、近い将来を設定すること
まずは将来の利益より目先の利益を優先する人間の性質を利用します。
なので目標設定を1年とか遠い将来ではなく、1ヶ月後とか極端な話で言うと明日とかの近い将来に設定します。
そしてアプトプットよりインプットにこそ効果がある
「テストの結果が良ければ」というアウトプットに対してインセンティブを与えるではなくて
「本を読んだら」とか「宿題を行ったら」という具体的なインプットに対してインセンティブを与える方が効果があります。
自分が子供のときは特にテストでいい点取ったら何か買ってもらえるご褒美作戦はなかったのです。
友達がテストの結果でご褒美を買ってもらっているのを羨ましいと感じていたのでこれは意外でした。
子供が小さいうちはお金よりトラフィーのようなやる気を刺激するものがいい
ご褒美としてお金をインセンティブにするのは気が引けるという場合でも同時に家計簿をつけるなどのマネー教育を行うことでお金を散財せずに貯金をすることもデータで出ています。
小学生の間はお金の代わりにやる気を刺激するトロフィーでも効果が出ています。
ただ中高生になるとお金の方がやる気を刺激するというデータも出ています。
ではここまでの作戦の参考例もありましたのでご紹介します。
参考例
今日本読んだらお小遣いをあげる。
近い将来に具体的に何をすればインセンティブを貰えるか明確なのでgoodです。
次のテストでいい点取ればお小遣いをあげる。
目標が遠い将来に設定されており何をすればいいのか分からないため長続きせず
勉強の本質的なところよりテストの点を上げるテクニック的なところに焦点が当たりやすくなるためbad。
番外編 なぜ勉強するのか
誰もが子供の時になぜ勉強しなければならないのかと考えたことがあると思います。
例外なく私も思いましたが、その時は腑に落ちる答えを出せずに、しなければいけないからするものだと考えていました。
そしてそんな私に辿り着いた答えがあります。
子供にいつか聞かれることがあるかもしれないので忘れないように書いておきます。
- 知的好奇心を満たすため
- 勉強することを通して非認知力を身につけるため
- 大卒の方が高卒より生涯賃金が上がるため
理由を補足していきます。
①は人間は新しいモノや新しい刺激を求める知的好奇心が強い生き物です。
文明は知的好奇心を満たす旅を続ける中で生まれています。
②は勉強が目的でなくて、勉強する過程で身に付く「自制心」や「計画性」などの生きる力を身につけるためです。
こういった力こそが人生を成功するためには必要です。
③はそもそも大学に行く理由があるのかはありますが、就職するのであれば大卒の方が生涯賃金が高いからです。
この③については、あんまり重要度は高くないです。
大学に行く理由が生涯賃金のためというのが好きではないからです。
以上が私が今辿り着いた勉強する理由です。
おまけ
子供への教育投資でいうと我が家は「DWE」というディズニーのお家英語をしています。
「DWE」でも開始年齢が早い方が英語を話すことができますよと就学前の開始を推奨されています。
またcap制度という子供のやる気を刺激するものも存在します。
私は典型的な日本人で中学から英語をずっと勉強してきたのに話すことができなくて
でもいつか話せるようになりたいなという願望と話せる方が選択肢が増えるっていう考えから
100万円ぐらいして非常に高額なのですが
老後や死ぬ時にたくさんのお金を残すより子供に何か与えることができた方が価値があると思い始めました。
グレアムに言わせれば「投資」ではなく「投機」です笑
なので我が子3人と私を含めて4人で現在実験中です。
ただ強制はしたくないので人生を切り開く一つの手段として人生を導く助けになればと思っています。
How are you living?
以上 人生の3大支出である教育費(子供への教育投資効果)でした。
参考文献
- 「学力」の経済学(2015)中室牧子 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン